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超久々にやってまいりました。勝手に百番の時間ですw

自分の体調がよくなくて稽古さぼっていたらネタが尽きてたでござるorz
最近ちょっと復活してきて調子こいているのでまたこの誰得コンテンツを復活させようか、と。
つーことで何の曲やるか考えたのですが、やっぱこれかな、と思いまして。

本日の曲は「末の契り」です。





題だけ聞くと何のことやらさっぱり、な曲ですが、いくつか言葉を補うと多分意味が分かる方もたくさんいらっしゃるかと思います。
「契り」はそのままの意味で捉えて結構です。あ、そう言うと語弊あるか。男女間の固いお約束、です。アレそのものじゃないですよw

で、問題の「末の」です。
この「末」は何なのか。答えはwebで!ではなく歌詞の内容によって理解されるものです。
つらっと歌詞を見ていくと、どうも歌枕の「末の松山」を略したものの模様。「末の松山の契り」では長ったらしい上にさらに意味不ですし。

さて、末の松山といえば百人一首:清原元輔の
「契りきなかたみに袖を絞りつつ末の松山浪越さじとは」
が有名であり、当然本曲でも下敷きになってます。
ですがこの歌は本歌取りであり、元歌あってのもの。
元歌は
「君をおきてあだし心を我が持たば末の松山浪も越えなむ」
という古今集内の東歌(東国地方の名もない詠み人たちの作った歌)から採られています。
古今集に入っているということは当時の貴族階級ならば知ってて当然であり、この歌の背景も当然のことながら誰もが知っていて、清原元輔がそれを踏まえた歌を詠んだ時も「ああ、そうだよね」と腑に落ちた筈です。
とは言え今や説明なしで理解できるかというとそうでもないよ状態でして。
ただ説明入れれば清原元輔の歌がいかに恨み骨髄かということが理解いただけるのではないかと思われます。

末の松山は宮城県多賀城市にあり、JR多賀城駅のすぐ近くのお寺の裏山です(陸前高田にも末の松山とされる地があるそうですが、今回は多賀城説で進めます)。
山、と名乗るもののせいぜい小学校の築山程度の高さしかありません。
多賀城、という名の示す通り、そこは蝦夷に対峙する前線の基地と陸奥国の国府を兼ねていて、松島へと続く丘陵地の一角に多賀城府があり、現在も基壇が残っています。
そして丘の下、末の松山の周辺に、今よりもずっと深く入り込んだ仙台湾に面して対蝦夷の本営が置かれていた、と思われます。
そのすぐそばにまた別の歌枕「沖の石(潮汐に見えぬ沖の石)」があることからもその辺りまで海が入り込んでいて、いざという時には舟を使って兵を動かせるようにしたのではないか、と。
大量に人員や物資を運ぶには舟が一番効率的なのでとても合理的。

ですがその利便性重視の結果、平安時代初期に大災害に見舞われることになりました。
貞観11年の貞観大地震です。
国府は倒壊、兵営は地震後の大津波でほぼ全滅したと考えられています。
実際、JR多賀城駅近辺をボーリングすると瓦礫の混じった砂礫層が出てきます(更にもう少し若い年代にも砂礫層があり、多賀城が放棄され伊達家が仙台城に入るまでの間にもう一回大津波があったと考えられています)。
今回の震災においても多賀城駅周辺は2~3mの高さまで水が上がりました。
が!何と末の松山は築山程度の高さしかないのに水没することなく残ったのです!
(今回の震災でも水はかぶっていません)
これはすごい!絶対大丈夫!
ということで
「君をおきてあだし心を我が持たば末の松山浪も越えなむ」
意訳:あなたを裏切ることがあれば、あの末の松山を浪が越えるでしょう→絶対裏切ることはありません!大丈夫です!
ということになるのです。

多分人口に膾炙していたのでしょう、あちこちの恋人たちがこの歌を踏まえて後朝のお約束をします(当時は通い婚、心変わりがあれば相手はすぐ来なくなる)。
しかし裏切られた。何だ!お前の絶対はその程度か!よくもまあ絶対裏切らないなんて言ったな!
という訳で「末の松山浪越さじとは」なのです。

江戸時代のベストセラーが「伊勢物語」であり、古今集の有名歌ぐらいは長屋の八つぁんでも(意味が分からなくても)知っている状態だったことを考えると、説明なしで演奏しても何をどう踏まえたものであるのか理解できたのではないか、と思われます。

曲自体はそんなに長くもなく、難しすぎもせず、塩梅よく弾けてまあ一般教養としていいんじゃないの?ぐらいの難易度。
八重衣だの青柳だのといった曲はもう全然余裕ないので(合奏してて楽しいは楽しいが)、ほどほどに合奏の楽しみが味わえるな、といった印象。
まあ今だとぱんきょーは千鳥の曲があるからなー。ただ有名過ぎてミスった時超はずかしーだけど(^^;


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