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ユウナちゃんダイヤ装備揃わないのかよ…orz

風邪ひいたっぽいのが完全に悪化の一途を辿りつつある今日この頃、本編が全く進まないので代わりに何か降りてきた構想1分のやっつけ話でもどうぞ。
暇つぶしにでもなれば幸いです。
えろはないけどいちゃいちゃはありますw

トロデーンの近衛って、隊だよなあ…師団じゃないよな?そこまで規模でかくないよね多分。
エイトの肩書迷うところなんだけど、ベルばらのオスカル様17、8で准将だったよね確か。
ちょっと出世しすぎな気もするけど泣く子も黙る王家の婿殿だし、いいか?世界を救った勇者さまだし。



栄達と引き換えの罰ゲーム

軍において出世の近道とされているのが将官の補佐官である。
中でも王直属の近衛は規模こそ小さいものの精鋭が集められていることもあり、そこの隊長の副官の席ともなれば出世確実とされる憧れの的だった。エイトが隊長になるまでは。
意気揚々と着任してきた副官が、半年持たずに転属する。酷い場合だと「降格になってもいいから」と逃げだすように異動しようとする。もちろん懲罰でもない限り降格異動など認められないのでなだめすかして異動先の準備が整うまで待たせるのだが。
そんなこんなでいつの間にか近衛隊の中で「エイト隊長の副官職はヤバい」という噂が密やかに流れるようになってしまった。にも拘らず、何がどうヤバいのかということについてはその実態を知る誰もが口を閉ざすため、謎のままとされていた。

そんなある日、前任者が「お願いだから地方に飛ばしてくれ」と懇願して異動になったので、ある若者に白羽の矢が立った。とある子爵家の二男である彼は噂など気にも留めず、出世の足掛かりとして快く着任した。何せ先祖伝来の所領は大部分を長男が相続してしまうため、何としても食い扶持を稼がなければならないのである。
前任者からの引き継ぎを受け、いざ隊長の執務室へ向かう。前任者からは
「…深く同情する」
と何やら意味深な言葉をかけられたがどうということはない。明日の飯のタネの方が大事である。ここで働きぶりが認められてどこかの師団長ともなれば、食うに困らず退役しても恩給が出るのである。あるいは軍の文官に転じるか。いずれにせよここが大事なところである。
「よろしく頼みます」
もちろん噂は聞いていたが、横柄で権力を嵩に着ているような人物ではなさそうだ。色々苦労して今の地位を得たことも、本当は某国の王族であることも非公式にせよ周智の事実である。
これは何とかなりそうだ、と彼は思った。きちんと勤め上げておこうと。

隊長が直々に兵の訓練を受け持つことはないのだが、彼は違っていた。身体が鈍るから、と午後の数刻を鍛錬に当て、かつ週に一度の野外演習も引き受けていた。
彼の力を以てすれば隊員全員が束になってかかっても一瞬で倒されてしまうのだが、呪文も特別な力を持つ武器も使わず一兵卒まで丁寧に稽古をつけてやる。もちろん厳しい訓練ではあるが、兵をいじめるような無意味なことはしない。その様子をみて彼はさらに尊敬の念を篤くした。

デスクワークが嫌いで逃げ回っているという訳でもなさそうだった。あまり好きそうではなかったが、副官に押し付けるようなこともなくきちんと責務を果たしている。この隊長の一体何が悪いのかと首を捻った。

そんなこんなで仕事にも隊長にも慣れてきたある日、裁可印をもらおうと執務室の扉を叩いたところ、
「わわっ!」
といつになく慌てた声がした。これはいけない、すわ曲者か!と急いで扉を開けたところ──隊長一人しかいない。それもこちらに背中を向けて何やらこそこそしている。
「隊長、いかがなされましたか?」
「い、いや、そのっ!ななな何でもないから!」
どう見ても怪しい。よく見ると制服が微妙に乱れている上に顔が赤い。
「隊長?」
「あ、それ裁可の書類ね。わわわ分かったから、すぐ片づけるからそこ置いてて」
「はっ」
「いやー、それにしても今日は暑いね」
「…今日は遅霜でしたが」
「えっ、そ、そうだったかな?じゃああれだ、風邪でもひいたかなアハハ」
何がアハハだ。怪しすぎる。怪しすぎるが追及は避けておこうと彼は思った。

その後何日かして執務室に向かおうとしたら、王女殿下がこちらにおいでになるのが見えた。
「お仕事大変ですね。ご苦労さま」
と労ってくださる。トロデーンのお世継ぎから直々にお声を賜るとは何たる僥倖。
「少し用事があるので一緒に入ってもいいかしら」
「はっ」
今まで近くで姿を拝見することなどなかった彼は、この隙にこっそりと王女の姿を窺い見た。儀式などで見る豪華な衣装ではなく普段着のシンプルなドレスだったが、むしろ生来の気品を引き立てている。白く滑らかな肌は輝くようで、薔薇色の唇が緩やかに弧を描く様は正に天が作り上げた芸術品。宝玉とも称えられる翠の目が鮮やかに輝いていた。
何とも羨ましいことで、と彼は思った。エイト隊長こそ、この王女の婿なのである。幸運な出会いに王女に従って入室すると、いつも真面目な隊長の頬が一瞬緩んだ(が、彼女の後ろに副官がいることに気づいて素早く表情を改めた)。
作法に従って二人の会話は何も聞いていないふりをしていたが、事務的な打ち合わせの後で隊長が何やらこっそり耳打ちしている様子はしっかり観察していた。
「はあ…」
王女が部屋を出ていくとエイト隊長はぼんやりとため息をついた。
「ミーティアってきれいだよね…」
「は」
否定はもちろん、熱烈に同意することも憚られるような話題に副官は困惑しつつも適当な相槌を打った。
「美人は三日で飽きるとかいうけど、全然飽きないんだよねー」
「は」
「あれ絶対間違っていると思うんだ」
「…は」
「いつ見ても美人でさー、どこからみても美人でさー、変顔してもかわいくてさ」
そんな顔するのか、と思ったが口にするのはこらえた。
「飽きたらいけないと思って自重してたんだけど、やめようかな。だって全然そんなことないし」
自重してください!という叫びを押し殺し、直立不動のまま何と答えたものか彼は迷った。
「大体飽きるっておかしいよね」
おかしくありません、と答える訳にもいかずかといって肯定する訳にもいかずせいぜいが表情を消すぐらいしかできない彼は黙って書類を差し出した。
「…ああ、書類か。そこに置いといて」
どうしようもなく弛んだ顔のまま隊長閣下は書類に目を通し始めた。

彼は、副官が長続きしない理由を漸く悟った。

                            (終)

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